Waketokuyama
Waketokuyama Honten
5-1-5 Minami Azabu, Minato-ku, Tokyo, Japan
2004.02
Restraunt
149.66m2
分とく山
分とく山 本店
東京都港区南麻布5-1-5
2004.02
飲食店
149.66m2
東京を代表する和食のレストランである。
敷地は外苑西通りという名の交通量の多い道路に面し、レストランにふさわしい静謐な室内環境を京成するために、道路と室内との間に一枚のフィルターを介在させる事とした。
「アスロック」という商品名と持つ厚み100mmの既製品のセメント成型板を輪切りにしたものを、フィルターの素材として選択した。この製品は、軽量化のために内部に空洞を設けているが、輪切りにする事によって、この孔のある奇妙な断面形態が露わになる。通常、外壁材料として使われる時には、表面にあらわれる事のない孔が切断される事によって突然出現するのである。しかもこの孔は、そもそも装飾的目的によって設けられたものではなく、パネルの軽量化という合理的目的にそって寸法を決定されて開けられたものである。セメント成型板は、きわめて安価な工業製品であるが、それを切断して内部を露にする事によって、その製品のもつ即物性が一種の装飾性へと反転される。その反転の瞬間に興味があった。
その反転を通して、通常おこなわれている建築ディテールを批判したいという思いもあった。可能な限り、滑らかなもので表面を覆いつくす方向へと、建築ディテールは進化している。ゴツゴツしているもの、ざらざらしているものを、スムーズな皮膜で覆い隠す事によって、メンテナンスの容易な抽象的物体を作ろうという傾向である。それは建築だけのトレンドにとどまらず、社会のすべての領域を覆っている人間精神の方向性と言ってもいい。ここではそれと逆の事を行い、見えないはずだった孔をわざわざ可視化した。



