wood / berg
東日本
2008.10
住宅
1422.31m2
「木製の装置を媒介にして、都市と建築とをつなぐ」
中層の建築に、いかにしたら小ささ、柔らかさを与えることができるかに関心がある。屋根を積層させるという台東区文化観光センターのデザインはひとつの解である。この住宅の場合は、berg (氷山) 状の多面体として解いた。しかもこのbergはバルコニーが多数貼り付いている。バルコニー等の半外部空間は、住宅を柔らかくするために、極めて有能な装置だが、通常バルコニーはソリッドなボックスに対するオマケであって、ソリッドなボックスを柔らかくするのではなく、逆にボックスの無骨な重さを強化することとなる。この住宅ではバルコニーの「スケール」、「固さ」」、「幾何学」とを、bergの「スケール」、「固さ」、「幾何学」を同調、同期させることによって、バルコニーが全体の柔らかさ、小ささの獲得に寄与するようなデザインとした。
バルコニーに対してこのようなアプローチは、我々としても初めての試みであるし、過去の住宅、集合住宅をみても、今まであまり行なわれてこなかったように思う。さらにここで気を配ったのは、bergを構成する素材である。木製ルーバーを基本素材とすることで、木造の住宅がもつ柔らかさを中層の建築でも達成したいと考えた。床までも木ルーバーで作った透け感のあるバルコニーの導入で、平屋の透明感を重層することが可能となった。東京の昔の木造住宅も、実は屋上の物干し台、2階の窓台のような、木の繊細なスケールを感じさせる「突出」によって、その柔らかさを都市に伝えていたのである。都市と建築とが、木製の繊細な装置を媒体としてつながっていたのである。その懐かしい伝統的技法にこめられた建築的知性を、あらためて思いおこした。
