デンマーク・オーデンセ アンデルセン博物館 コンペティション 最優秀賞選定

敷地 / デンマーク、オーデンセ
主要用途 / 博物館
延床面積 / 約6000 m2 (予定)
高さ / 地上2階地下1階 (予定)

このたび、デンマーク・オーデンセのアンデルセン博物館のコンペティションにて、隈研吾建築都市設計事務所が最優秀者として選定されました。協働はCornelius+Vöge Aps (Associate Architects)、MASU Planning (Landscape Architects)、Eduard Troelsgård Engineersです。

童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが生まれたデンマーク、オーデンセ市の中心地にアンデルセン美術館と庭園、ティンダーボックス(火打箱)と呼ばれる子供のための文化施設を新設する計画。

アンデルセンの人生や作品、その世界観をナレーションやオブジェクト、セノグラフィを通して体感できる美術館。アンデルセンの作品にはファンタジーの世界だけではなく作家の数奇な生涯や旅での経験が投影されている。その中で特徴的なのが物事の”Duality – 二面性”である。現実と空想、自然と人工、人間と動物など相反する物が作品中では同一物の裏と表であったり、混在したり、境界線があいまいな世界観を描いている。

美術館は大きさの異なる円形の展示室を数珠のようにつないだ平面構成としている。それらの展示空間を編むようにスロープをつくり、地上から地下空間へとビジターを導く。庭もアンデルセンの世界をつくる重要なエレメントの一部である。展示室を地下に設ける事で地上面のほとんどを庭にあてている。庭の空間は地下階の展示室をなぞるように曲線の緑の壁:ヘッジで構成し、室内の展示空間と地面を境に裏表になるような計画としている。地面という境にいくつかの穴:サンクンガーデンを開けて現実:地上と想像:地下の世界とのリンクをつくっている。

入り組んだ室内、屋外、地下空間を編む曲がりくねった動線は展示の中から裏側に回りこんだり、外への景色が開けたり、暗くなったりと異なる世界を行き来しているような不思議なセンセーションを生み出している。

(文責:池口由紀)