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#6 January 31, 2018


3月11日から、大先輩の建築家、辰野金吾設計の東京駅の上にある東京ステーションギャラリーで、くまのもの展(Lab for Material)を開くことになりました。辰野金吾というのは僕にとって大事な存在で、1854年、ちょうど僕から100年前に生まれているのも、吾という字が名前についているのも、少し運命的です。東大で教えて、アカデミックなものと、デザイン的なもの、技術的なものとアート的なものとを融合させようという懐の大きさにもシンパシーを覚えます。

辰野へのオマージュという意味で、そして、構造的にもレンガ造と鉄骨のコンポジットで挑戦的であった東京駅へのオマージュを込めて、今回の展覧会のテーマはLaboratoryです。Labにおいて重要なのは継続と物に対する愛情です。愛情がなくて、研究だけしていても意味がありません。そして研究は継続し、ひとつの成果に飽き足りずに次に続けてこそ、歴史に何かを残すことができます。今回完成した上海のShipyardのプロジェクトも、レンガ、石、瓦を金物で固定する研究、実作を継続してきたからこそ達成できた「何か」です。

Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

Newsくまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質東京ステーションギャラリーにて展覧会を開催します。 2018年03月03日(土)-05月06日(日) (4月30日をのぞく月曜日休館) 10:00-18:00 (入場は閉館の30分前まで) 入場料:一般(当日)1,100円、高校・大学生(当日)900円、中学生以下:無料 主催:東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]、隈研吾建築都市設計事務所 東京駅周辺美術館学生無料ウィーク 2018年3月3日(土)から3月18日(日)の期間、受付で学生証をご提示いただくと入館料が無料になります。 ejrcf.or.jp/gallery/201803_kengo Read More
ProjectsMIFA 1862 / shipyard黄浦江に面してたつ1972年に完成した、レンガで作られた造船工場を、劇場、リテイラーの複合建築として保存、再生した。 巨大な船のスケールを感じさせる、高さ20m、長さ150mの「孔」が建築の中心部を貫き、その中心に、既存建築を支えていたコンクリートの列柱が並ぶ印象的な空間を作った。 西側の端部ファサードは、有孔レンガをφ8mmのステンレスワイヤで固定して作った半透明のスクリーンで覆われ、レンガの密度はグラデーショナルに変化する。 東側の端部の劇場は、ステージの背後を巨大なガラスの面とし、カーテンをあけると、黄浦江が眼の前に出現するという演出が可能となった。   Read More
ProjectsComico Art Museum Yufuin温泉観光地として独自の文化を育んできた由布院にたつ、現代アートのための小さな美術館。由布院盆地を彩る青々とした山々と、展示される現代アートを引き立てるために、黒い焼杉で建物を覆った。焼杉とは杉板の表面を焼くことで炭化させて耐久性を高めた素材で、西日本では外壁材として伝統的に使われてきた。遠目では真っ黒のヴォリュームだが、間近で見ると焼杉特有のウロコ模様や木の温もりが伝わってくる。焼杉をランダムに小端立てにすることで、40mを超える壁面に深いリズムを与え、街並みのリズムとシンクロさせた。 独立した2つの展示室は、屋外から入り込む水盤をはさむ形で静かに向かい合う。ミニマルな展示空間とは対照的に木と和紙で包まれた2階ラウンジと、それにつながる枯山水の庭は、凛としてそびえたつ由布岳を仰ぎみるための前庭として調えられている。 Read More
ProjectsComico Art House YufuinComico Art Museum Yufuinと隣接する敷地内にたつ保養研修施設。3棟に分棟することで、川沿いの小さな集落を目指した。美術館と保養施設の建物群を明確に区切らず、パブリックとプライベートの二つの場所が、アートと自然を介して一体的に感じられるゆるやかな全体性を目指した。各棟の庭園や露天風呂から由布岳を望めるように建物の配置と距離感に気を配り、薄い鋼板葺きの屋根を、山に向かって雁行させた。 3棟の内装はそれぞれ木、土、竹の自然素材をテーマにし、素材の可能性に挑戦した。 Read More