3月11日から、大先輩の建築家、辰野金吾設計の東京駅の上にある東京ステーションギャラリーで、くまのもの展(Lab for Material)を開くことになりました。辰野金吾というのは僕にとって大事な存在で、1854年、ちょうど僕から100年前に生まれているのも、吾という字が名前についているのも、少し運命的です。東大で教えて、アカデミックなものと、デザイン的なもの、技術的なものとアート的なものとを融合させようという懐の大きさにもシンパシーを覚えます。
辰野へのオマージュという意味で、そして、構造的にもレンガ造と鉄骨のコンポジットで挑戦的であった東京駅へのオマージュを込めて、今回の展覧会のテーマはLaboratoryです。Labにおいて重要なのは継続と物に対する愛情です。愛情がなくて、研究だけしていても意味がありません。そして研究は継続し、ひとつの成果に飽き足りずに次に続けてこそ、歴史に何かを残すことができます。今回完成した上海のShipyardのプロジェクトも、レンガ、石、瓦を金物で固定する研究、実作を継続してきたからこそ達成できた「何か」です。