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#79 February 23, 2026
フィエンメの谷と、森の循環
イタリアとオーストリアの国境の静かな谷の12世紀の建築の中で、小さな講演会を行い、地域の人達と語りあった。
ここに行くまで、このフィエンメという谷がどういう場所だかよく知らなかった。きっかけは僕が去年のヴェネチア・ビエンナーレのためデザインしたDomino 3.0という木でできたパビリオンが、この谷の領主の館だった建物の庭にひきとられ、しばらく展示されるので、是非見にきてほしい、できればそこで話もしてほしい、展覧会もやってほしいという誘いだった。
たまにはイタリアの山奥の雪の中で、ゆっくりしようかという程度の気分で引き受けたのだが、地元の森で生活する人達と語りあって、僕がここに呼ばれた裏には、偶然でなく深い必然がひそんでいたことに気づかされた。
その谷の西の突きあたりがボルツァーノという町で、そこが20年前の2006年、僕が初めてイタリアで講演会をやった場所である。ボルツァーノからフィエンメとつながる谷は、イタリアの林業の一種の聖地で、そこで木材に関わって暮らす人達が、2000年に完成した僕の広重美術館に興味を持って、無名な僕を呼んでくれたのである。その時の関係者達と再会し、20年前の感謝を伝え、また今回もヴェネチアからドミノを運んで組み立ててくれたことにお礼を言って、山の赤ワインで乾杯した。
彼らが木の建築にこれほどまでの関心をいだくにははっきりとした理由があることも知った。フィエンメの谷では、森は基本的に個人の所有ではなくコミューンの共有財産で、その森という資源が枯渇せず、永遠にコミューンの宝物として存続するために、厳密なルールを定めて伐採が行われてきたというのがある。その計画的でサステナブルな伐採方法がこの谷のモミを「共鳴モミ」と呼ばれる特別な質のモミとし、その特別な音を響かせる「共鳴モミ」を材料として、ストラディバリウスとグァルネリという、世界の音楽の頂点となるヴァイオリンが作られてきたという驚くべきエピソードを聞いた。特別な森の特別なモミだけが、特別な音を世界に響かせていたわけである。その伐採に関する管理は月齢を用いた精密なもので、近年のビオ・ワインの収穫ともよく似た方法だった。
コミューンによる、この森の厳密な管理方法は、日本の里山の伝統的な森の管理方法ともしばしば比較され、森の私有を基本とする日本の里山の環境劣化とは対照的だという指摘もあるらしい。
日本では高知の山奥の梼原という特別な森とつながることができた僕だが、イタリアの特別な森とも、不思議な縁が生まれることになった。ミラノ・コルティナオリンピックのゲレンデとはそれほど遠くない谷で、森と人間についてじっくり考えることができた。

News展覧会Domino 3.0 Dalla ferita alla forma. Kengo Kuma e l’architettura che rigenera
ProjectsDomino 3.0 / Generated Living Structure
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