山本寛斎さん、高田賢三さんという、僕が若い時から尊敬し影響を受け、また最近は一緒にお仕事をさせて頂いた偉大なファッションデザイナーが相次いで亡くなり、悲しく、そして大きな喪失感に苛まれている。
学生の時からずっと彼らの自由さに憧れていた。学校で教える建築というのは、何か道徳か倫理を教わっているようで息がつまる気がした。これをやったらダメとかフマジメとか、ヤリスギとかいうおこごとばかりで、ファッションの世界の自由さがうらやましかった。今思えばモダニズム建築というのが、プロテスタンティズムの禁欲主義の産物だから、あんな教育になったのかなあとも思う。暗い気分を晴らしてくれたのが、カンサイやケンゾーのデザインだった。
彼らとのおつきあいがはじまって、こういう素敵な人柄だから、あのように、人を自由にするデザインが出てくるのだということを知った。自分も、建築を通じて、彼らの自由を引き継ぎ、未来に伝えたいと思う。