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#35 October 21, 2020


山本寛斎さん、高田賢三さんという、僕が若い時から尊敬し影響を受け、また最近は一緒にお仕事をさせて頂いた偉大なファッションデザイナーが相次いで亡くなり、悲しく、そして大きな喪失感に苛まれている。

学生の時からずっと彼らの自由さに憧れていた。学校で教える建築というのは、何か道徳か倫理を教わっているようで息がつまる気がした。これをやったらダメとかフマジメとか、ヤリスギとかいうおこごとばかりで、ファッションの世界の自由さがうらやましかった。今思えばモダニズム建築というのが、プロテスタンティズムの禁欲主義の産物だから、あんな教育になったのかなあとも思う。暗い気分を晴らしてくれたのが、カンサイやケンゾーのデザインだった。

彼らとのおつきあいがはじまって、こういう素敵な人柄だから、あのように、人を自由にするデザインが出てくるのだということを知った。自分も、建築を通じて、彼らの自由を引き継ぎ、未来に伝えたいと思う。

山本寛斎事務所提供
山本寛斎事務所提供
Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

ProjectsKenzo Houseファッションデザイナー高田賢三のパリの自邸を、フランス人の企業家のための住宅+レストランへと改造した。 賢三氏は錦鯉が泳ぐ池の中に飛び石を打った美しい日本庭園を作ることで、パリの中に別世界をつくりあげた。われわれはこの庭を中心として、あらゆる空間から庭が見られるように空間を透明化して再編成した。木と土を用いて家全体のテクスチャーをよりやわらかく温かいものへと作り変え、土壁はパリ在住の左官職人ESの力を借りた。 賢三氏が中庭に面して作ったプールは彼の熱帯へのパッションの象徴であったが、われわれはパリの気候を考慮して、このプールを木と格子でできたEngawa空間(In between space)へと転換した。 Read More
Projects北竜町保育園日本一広いひまわり畑で知られる北海道北竜町の草原に建つ「ひまわりの幾何学」をテーマにした木造の保育園。 町産材のカラマツ材でフレームをつくり、構造を一部露出しながらその上にカラマツの羽目板とカラマツ合板を貼り付けて、子供たちを包み込む温かく優しい空間が生まれた。 ひまわりの求心的幾何学にヒントを得て、中心に全ての園児が集まるホールを設け、その中心にひまわりの花で染めた黄色い布の照明器具を吊り下げ、園の象徴とした。 ひまわりの街にふさわしいエネルギッシュであたたかい空間が生まれた。 Read More