チェコからヤン・カプリツキ―賞を頂いた。Jan Kaplický (1937-2009) はプラハ出身でレンゾ・ピアノ+リチャード・ロジャースの事務所のスタッフとしてポンピドゥセンターを担当し、その後フューチャー・システムズを1979年に設立し、有機的で未来的な建築で、建築界に大きな足跡を残した。
プラハでの授賞式でチェコの建築家達と歓談し、チェコという場所と僕の建築の関わりについて、様々に考えた。
まず頭に浮かんだのは、チェコ出身の建築家アントニン・レーモンド(1888-1976)から僕が受けた影響のことである。レーモンドの建築との最も衝撃的な出会いは、1990年に高崎のレーモンド設計の井上房一郎邸を見せられた時だった。(写真)井上工業の会長であった房一郎さんは、90才を過ぎていたがまだお元気で、彼がレーモンドに請いて、西麻布にあったレーモンド自邸と同じものを高崎に建てたいきさつを楽しくうかがった。その家は、軒先が低く、きわめて控え目でおとなしい木造平屋の家が、「孔」と「斜め」という二つの操作によって全く違うものに生まれかわっていて、圧倒された。「孔」と「斜め」は、その後の僕の建築の中心的なテーマであり続けた。
その「孔」と「斜め」は、チェコという場所と関係があるのではないかというのが僕の直感であった。チェコキュビズムやチェコと関係の深いプレチュニックの作品が、「孔」と「斜め」の宝庫であることを、その後の僕は発見していくのである。

紫泥を用いた陶器の生産地として名高く、「陶都」と呼ばれる宜興市に、陶文化を展示する美術館をデザインした。敷地はかつて陶器工場やアトリエが建ち並び、宜興の陶文化の中心地であった場所で、再開発のマスタープランに沿って、稼働を終えた工場の遺構を生かしながら、アトリエ、ワークショップを含む陶芸文化のセンターを創造した。 陶器の山のようなヴォリュームは、北宋時代の文豪・蘇東坡が愛した敷地に近い蜀山や、600 … Read More
Giuseppe Verdiのオペラ「Simon Boccanegra」のためのセノグラフィー(舞台セット)をデザインした。1737年にオープンした世界最古のオペラ劇場であるナポリのTeatro di San Carlで、Simon Boccanegraの舞台となったジェノバの海と登場人物の心情の変化と光の動きを、布のしわを用いて表現した。 ALCANTARAが開発したリサイクルポリエステル製の無 … Read More
皇居の緑の前に立つ東京MXテレビの本社を、「緑のモアレ」のトンネル空間としてリデザインした。 放送局とはそもそも、日常の世界と異世界とをつなぐトンネルであると考えた。トンネルの内側の皮膜は浮遊するS字のルーバーと背後の垂直ルーバーとの二層のレイヤーを構成し、トンネルを奥へと進むと二レイヤーが干渉縞(モアレ)を生成し、森の洞窟、あるいは樹木の単管の内部を遡行するような感覚にとらわれる。ルーバーという … Read More