東京 MXTV
皇居の緑の前に立つ東京MXテレビの本社を、「緑のモアレ」のトンネル空間としてリデザインした。
放送局とはそもそも、日常の世界と異世界とをつなぐトンネルであると考えた。トンネルの内側の皮膜は浮遊するS字のルーバーと背後の垂直ルーバーとの二層のレイヤーを構成し、トンネルを奥へと進むと二レイヤーが干渉縞(モアレ)を生成し、森の洞窟、あるいは樹木の単管の内部を遡行するような感覚にとらわれる。ルーバーというヴォキャブラリーを使って、ダイナミックで有機的、生態的体験の生成を試みた。
限定された空間の中に、限定されたコストでいかに「デプス」と「動き」を表現するかの挑戦ができた。ガラスや薄いスクリーンを用いたモアレ表現はたくさんあるが、リアルな素材を用いた立体的なモアレは他にあまり例がない達成である。