東京ステーションギャラリーの展覧会は、いろいろなところで話題になって、リニューアル開館以来のレコードで、シャガール以上の61,997人の方に見て頂くことができて、「実物」というもののメッセージをあらためて思い知らされた。なかでも一番うれしかったのは、いつもは弟子のことをあまりほめない恩師の原広司先生の展覧会評(『新建築』2018年4月号)であった。原先生から「物質にかえろう」という僕のエッセイと、KKAAの全プロセスを俯瞰したtreeのdiagramが、美学の歴史に残ると原先生から評されて、今まで仕事をしてきたかいがあったと思った。
さらに原先生は、1979年の、原先生と僕と総勢6人で行った西アフリカのサハラ砂漠の集落調査にふれた。僕が今でも集落調査を続けていて、その結果が建築という形をとっていると指摘されて、これも、その通りだなあと思った。どうしてこんなに旅にひかれるかが、やっとわかった。