V&Aについて、いくつかの対談、インタビューを受けたが、その中で、V&Aは文楽的という指摘があって、なるほどと思った。人形を操る裏方たちが、すなわち黒子を見せるという文楽の手法が、プレキャストコンクリートのルーバーの後ろの躯体を見せるという、V&Aの手法と同じだというのである。
確かに、KKAAは、後ろの裏方、すなわち構造的なものを隠さずに見せるということを、とても大事にしてきた。これは増築的手法、またはリノベーション的手法と呼んでもいいだろう。われわれは新築するオブジェクトをデザインしているのではなく、継続していく環境そのものをデザインしているのであり、われわれのすべての作品は、新築ではなく、環境のリノベーションだという、KKAAの基本哲学に由来するのだろうと思う。なにかを足し、なにかを様々なグレーを塗りながら背後に後退させることで、ゆるやかな重層的環境が作りたいのである。