ミッテラン政権で文化大臣を務め、パリのグラン・プロジェ(グラン・ルーブル、オペラ・バスティーユ)や、FRAC(現代アート地域基金機構)の生みの親といわれ、20世紀後半以降のフランス文化再生のキーマンといわれる、ジャック・ラングを招いて、東京芸大でパネル・ディスカッションを行った。
ラングのおもしろいところは、グラン・プロジェでパリの文化的再生を実現すると同時に、FRACを創設して、文化の地方分権、地方文化の再活性化を達成したことである。2000年代以降のnew generation FRACに定められた6拠点のうち、KAEがブザンソン、マルセイユの2拠点の建築デザイナーに選定されたので、ラングとは、一度ゆっくりと話してみたかった。
彼のすごさは、文化行政において、建築というものが、いかに大きな力を発揮できるかを、直感的に理解していることである。同時に、新しい建築が都市を変えようとした時、いかに大きな抵抗に遭遇するかを、彼は語ってくれた。その抵抗に負けなかったからこそ、今のパリ、そしてフランスの地方文化があることを、彼から教わることができた。