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#19 March 31, 2019


この原稿を含めて、僕はすべてのテキストをボールペンを使って、手書きで書いて、それをKKAAの広報の稲葉さんが打ち出している。なぜ手書きで書き続けるかについてはあまり深く考えたことがなかったが、岩波書店から出版予定の「点・線・面」のというタイトルのセオレティカルな本を書きながら、手書きにこだわる理由について考えてみた。

一言でいえば僕は、ノイズだらけで整然としていない、小さな物達(すなわち点、線)が散乱した状態が好きて、そのようなものに囲まれている気持ちが落ち着くのである。逆に固くかたまって、とりかえしがつかないコンクリートのようなものを見ると、気分が悪くなるのである。建築においても、点・線の実現がテーマである。

もちろんPCの画面上のテキストも、充分に変更可能でとり返しがつき、充分に開かれてはいるのだが、それを身体に感じるのは難しく、整然と同じ大きさのフォントが並んでいる様子が息苦しいのである。「点・線・面」では、カンディンスキーの版画論と、マリオ・カルポのデジタルデザイン論をひきながら、この離散的なノイズ状態の快適さを、論理的に解明しようと考えている。

Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

Projects日本平夢テラス富士山を望む名勝地、日本平山頂に建つ、展望施設と空中回廊。 法隆寺の夢殿にヒントを得て、八角形というジオメトリーに挑戦した。 東西南北という直交軸をベースにしながら、そこに斜線を持ち込むことによって、いかなる方向にも拡張できる自由さを獲得したのが、八角形というジオメトリーである。このジオメトリーによって、富士山への正面性と、空中を回遊できる自由さとを両立させることができた。 地元静岡県産のヒノキ材を使って、このユニークなジオメトリーに、木の枝のような複雑性を与え、外の富士山と呼応する、森のようなインテリアを創造した。 Read More
ProjectsWood/Pileドイツ・ミュンヘンの郊外、ルートヴィヒⅡ世のノイシュヴァンシュタイン城にも近い森の中に建つ、瞑想のための建築。 Spaの聖地として知られるDas Kranzbachの客が、この小屋の中で瞑想、ヨガを体験することができる。 敷地周辺に自生するモミの木を30mm幅にスライスし、小枝のように積み重ねることで、森と建築の中間的なスケールを作り出し、人間を森の中へと溶け込ませる空間とした。トップライトから射し込む光はその小さな木の枝で拡散され、木漏れ日のような効果をもたらす。 Read More
ProjectsNiwa日本語でgardenを意味するNIWAという名前を持つ、庭園と一体化した、環境に開かれた集合住宅。 日本の伝統的な建築配置計画である雁行プラン(goose flying plan)にヒントを得て、長いブロックをヒューマンスケールを持つ小さな単位へと分解し、2方向にビューがひろがるコーナーをたくさん生み出して、建物と環境とを統合することが可能となった。 自然木でできた縦格子と豊かなテクスチャーを持つ白い壁を組み合わせてファサードを構成し、プライバシーを確保し、温かさ、やわらかさを建築に与えることができた。 集合住宅をより大地に近づけ、人間にとって、より親しい存在へと転換したいと考えた。 Read More