今年1番の収穫は、コロナをきっかけに、300名を超えた所員全員がzoomでつながる、グローバルミーティングを始めたことである。東京事務所だけではなく、パリ事務所、北京事務所、上海事務所をつないで、時には進行中の工事現場からの中継映像を交えてのミーティングで、今まで以上に、スタッフ全員のきずなを、毎週水曜日の夕方の30分の間で、確認することができた。パリ、北京、上海の人々が、コロナとどう戦い、どう生活しているかの姿も、ニュースとは全く違うテクスチャーで、感じ取ることができた。
リモートのミーティングも増えて、僕らの東京事務所は解体されたと感じた。大きな事務所(ハコ)で仕事をするワーキングスタイルに代わる、離散型の働き方も見えてきた。
もともと、我々は、田舎の現場が多いので、そのような現場を拠点とするサテライトオフィスのクラウド状の集合体という事務所形態もありえるかもしれないということに気がついた。そのようにして世界の様々な職人と、地球の人々と密接に直接つながった、草の根的でクラウド的なラボの可能性である。
その一方で、数人で、フィジカルモデルを前にして行う、顔を合わせた濃密なミーティングも捨てがたい。そのコミュニケーションの方法もまた、隈事務所の持ち味であることに、あらためて気がついた。その2つの一見対極的とも思えるコミュニケーション形態を、どう両立させられるかを、来年は様々な試行を通じて、考えてみたい。