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#37 December 29, 2020


 今年1番の収穫は、コロナをきっかけに、300名を超えた所員全員がzoomでつながる、グローバルミーティングを始めたことである。東京事務所だけではなく、パリ事務所、北京事務所、上海事務所をつないで、時には進行中の工事現場からの中継映像を交えてのミーティングで、今まで以上に、スタッフ全員のきずなを、毎週水曜日の夕方の30分の間で、確認することができた。パリ、北京、上海の人々が、コロナとどう戦い、どう生活しているかの姿も、ニュースとは全く違うテクスチャーで、感じ取ることができた。

 リモートのミーティングも増えて、僕らの東京事務所は解体されたと感じた。大きな事務所(ハコ)で仕事をするワーキングスタイルに代わる、離散型の働き方も見えてきた。

 もともと、我々は、田舎の現場が多いので、そのような現場を拠点とするサテライトオフィスのクラウド状の集合体という事務所形態もありえるかもしれないということに気がついた。そのようにして世界の様々な職人と、地球の人々と密接に直接つながった、草の根的でクラウド的なラボの可能性である。

 その一方で、数人で、フィジカルモデルを前にして行う、顔を合わせた濃密なミーティングも捨てがたい。そのコミュニケーションの方法もまた、隈事務所の持ち味であることに、あらためて気がついた。その2つの一見対極的とも思えるコミュニケーション形態を、どう両立させられるかを、来年は様々な試行を通じて、考えてみたい。

Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

Projects歴史文化館・由学館難攻不落の城として名高い豊後岡城の城下町竹田にたつミュージアム。この竹田に生まれた滝廉太郎は、岡城をテーマに「荒城の月」を作曲した。風情をもつ水路のある城下町の通りに沿って、建物を白壁と竹格子を組み合わせて、⾧い塀としてデザインした。 いぶし竹の格子は、室内にも延⾧され、そこに城下町の歴史と岡藩出身の文人画家、田能村竹田の作品が展示される。裏山の斜面にたつ田能村竹田の住まい「史跡旧竹田荘」と、格子の意匠をほどこしたエレベーターでつなぎ、街全体を歴史回遊空間としてリデザインした。 Read More
Projectsmorinos 岐阜県立森林文化アカデミー 森林総合教育センター森林の多面的機能を伝える教育プログラムの拠点施設。アカデミーの学生とともにワークショップを重ね、大きく張り出した片流れ屋根を、森から伐り出したV字の丸太柱で支える開放的な構成に到達した。100年生ヒノキの丸太柱は、施設からつながるアカデミーの演習林から、林業専攻の学生達によって伐り出され、杉の樹皮をそのまま残した材を開口部の方立に用い、建物自体が森林教育の教材となるデザインとした。演習林の土や主に岐阜県内の土を、十二単のように塗り重ねた象徴的壁面は、岐阜の左官職人、挾土秀平による。 Read More