アメリカのタイム誌による「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。選定理由のテキストは、東京国立近代美術館で開催された隈研吾展のキュレーターを務めた保坂健二朗さんによるもので、「負ける建築という方向性をリードしている」とまとめてくれた。
最も嬉しかったのは、「公共プロジェクトは表現の自由を制限することが多いが、それでも自然な共感を得て、コミュニティに歓迎される新しい空間を作り出した」という一文。
制限の中で、共感を得るというのは、僕が一番大事にしていることだからである。建築に対する「制限」は、これからいままで以上に増えていくだろう。予算は低下し続けるだろうし、環境やユニバーサルデザインに対する要求も、今までとは違う高いレベルに移行するだろう。
その流れの中で下手をすると、存在感のない退屈な建築ばかりが作られる可能性が高い。その困難な中で、いかに人々の建築への共感を保ち続けることができるか。自分に課せられた課題は、まさに制限と共感だと感じている。