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#5 December 26, 2017


2017年の最後はアフリカのセネガルに行って、講演をしました。1979年の12月から1月にかけて、東大の原広司の研究室で、サハラを縦断する調査旅行に出かけて以来のアフリカです。あの旅は、自分にとっても画期的な経験でした。サヘルやサヴァンナと呼ばれる、サハラの南側のエッジの集落の、パラパラとした離散的な感じ、さらに南の熱帯雨林の中に実在する集落の、自然素材を用いたラフなスクリーンに感銘を受けました。それらの集落を見ていて、日本の集落の良さを再発見したわけです。

今回は、環境破壊で農業が大ダメージを受けているセネガルを支援するNPOのイタリア人、ラウル・ヴェッキオに誘われました。30年前の西アフリカに残っていた牧歌的なゆるさは消滅していて、都市化の破壊的な力が、西アフリカにも及んでいる様子を見て、気分が暗くなりました。2018年が、少しでも明るい年になればと、祈ります。

Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

Projects湯河原駅前広場駅とは鉄道と街とをつなぐ、縁側のような中間領域であると考えてデザインした。縁側のように、半分開いていて、建築として完結しないことが重要であると考えた。 湯河原は、日本を代表する温泉の街であるが、熱海や箱根のように大きなホテルがあるわけではなく、小さな旅館が集合したヒューマンな街である。 この新しい駅も、そのヒューマンスケールに対応した、ヒューマンでやさしいものでなければならないと考え、杉材のルーバーを用いた、半屋外的で半開放的な駅舎をデザインした。 杉のルーバーの下の、木漏れ日のような光に満たされた空間の中に、温泉の湯がひきいれられ、その湯から出る水蒸気によって、駅舎全体が、よりやわらかく、温かいものとなる。 Read More
Projectsハモニカ横丁 三鷹かつてわれわれの手がけた焼き鳥屋てっちゃん(2014)のある吉祥寺ハモニカ横丁の、戦後の焼け跡的な空気感の継承に挑戦した。 廃材を扱う株式会社ナカダイには、てっちゃんのLANケーブル、アクリル団子でもお世話になったが、今回は300組の自転車のスポークの廃材を供給してもらい、ファサードとインテリアを、スポークで覆いつくした。テーブルやチェアも、スポークで作り、空間のすべてがスポークという粒子で構成された状態をめざした。 スポークは、テンションだけを用いて車軸と外側のリングをつなぐという緊張感に満ちた極限の構造体であり、その緊張感は僕らがしばしば用いるテンセグリティの構造に通じると感じた。 Read More