KKAA Newsletter #50 (May 3, 2024) See in English 日本語で見る

#50 September 13, 2022


最近、西アフリカのプロジェクトが続いている。カサブランカのドクターレイラミュージアム、ガーナ、クマシの職業訓練所、セネガルの干ばつ被害を救うアイデアコンペの審査委員長・・・なぜ今、僕が西アフリカなのか。それ説明するために、大学院時代の西アフリカ旅行のエピソードをしばしばしば紹介していたら、それが岸田総理の耳に入ったらしく、チュニスで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)の総理の基調講演の冒頭で、僕と西アフリカの関りを話題にして頂き、驚いた。

 僕は1979年に、西アフリカを2か月旅し、サハラ砂漠を縦断した。高度成長期のコンクリートと鉄の建築にうんざりし、かといってじじくさい日本建築にも関心がなかった僕は、西アフリカの土と草の建築を見て救われ、たくさんの具体的なヒントももらった。その意味で、今日の僕の原点は西アフリカにある。そんな話が、アフリカの首脳達にも伝わって、日本とアフリカの間で新しい文化交流がおきたら、とても素敵だと思う。

TICAD8開会式 岸田総理スピーチ

Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

ProjectsPadova Congress Centreイタリア北部の古都パドヴァの、コンベンションセンター地区の中心施設であるパラッツォ・デッレ・ナチオーニ(1951年)の建て替え。 旧パラッツォ・デッレ・ナチオーニのレリーフで飾られた正面ゲートを保存し、そのゲートによって強調された軸線は内部を貫通し、都市とコンベンションセンターの各機能 ―― 5000人収容のジョットホールと2500人収容のマンテーニャホール ―― とが、ひとつにぬいあわされる。この正面ゲートを中心にして、建物をとりまくように高さ15メートルのルーバーを並べた。ルーバーは、環境を調整するためのブリーズ・ソレイユの役割をはたし、パドヴァの旧市街のコロネードと、日本の伝統的なENGAWA空間とがかけあわされた一種の中間領域(in-between space)となっている。 パドヴァの旧市街に現存する中世の巨大建築パラッツォ・デッラ・ラジョーネ(Palazzo della Ragione)は、木造船の技術を応用した、木のドームで知られ、われわれはここでCarp (2008)という布で空中に舞うインスタレーションを行った。今回の木のルーバーは、パラッツォ・デッラ・ラジョーネの木のドームに対するオマージュで、パドヴァという街の歴史との接続でもある。 Read More
ProjectsThe CloudThe design of the "Cloud" pavilion is inspired by the Polish and Japanese tradition of wooden architecture. The pavilion is designed on the basis of an individual interpretation of traditional carpentry connections. The project is inspired by analysis of slanted locks and dovetail joints connections. The pavilion's composition is based on two groups of identical timber elements (long and short) connected with diagonal locks with an angle of 45 degrees for all connections. The installation "The Cloud" is the result of the Polish-Japanese research and workshop program carried out in the years 2020-21. by the Kengo Kuma and Associates and the Faculty of Architecture and Fine Arts of the Andrzej Frycz Modrzewski Krakow University. KKAA Design team: Kengo Kuma, Marcin Sapeta, Hossam Hesham, Tomohiro Matsunaga In collaboration with: The Faculty of Architecture and Fine Arts, Andrzej Frycz Modrzewski Kraków University Krzysztof Ingarden, prof. AFMKU / Dean of the Faculty Artur Jasiński, prof. AFMKU Structural consultant: Structured Environment Limited Consulting Structural and Civil Engineers Alan Burden (Director) Jordan Bocquillon Carpenter: Jan Pęcek Zakład Stolarski, Krzczonów, Poland Produced by: The Association for Architectural Education, Kraków Sponsored by: The Association for Architectural Education, Kraków The Kyoto ‒ Kraków Foundation Andrzej Wajda i Krystyna … Read More
Projects寿月堂 築地本店竹の野点傘にインスパイアされて茶禅の精神を空間化した。 千利休に原点があるとされている野点は、作法よりもゲストをもてなす心を一番としており、現代に茶禅の精神を息づかせ続ける寿月堂の柔軟なふるまいと共鳴している。 われわれは寿月堂のパリ店、歌舞伎座店と竹を使ってデザインしたが、3店舗目となる築地本店は野点に現れる開放性や清々しさを併せもつ自由な空間を作りたいと考えた。しなやかに曲がる特性を活かした竹の傘は掌のように広がってゲストをおおらかに包み込み、築地の賑わいにそっと忍び込む。歩道から扉を設けずにつながる店舗は野点傘の下の茶会のように人々を惹きつけ、やすらぎを与えるだろう。 Read More
ProjectsSnow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERSスノーピークの新潟・三条の本社に併設されたスパ・ヴィラ・レストランの複合体。人間の活動の中心を室内からアウトドアに移動させようというスノーピークの哲学の建築的な翻訳を試みた。 建物の正面には日本300名山の一つである粟ヶ岳がそびえ、その優雅な稜線と響きあうように屋根を並べ、その軒をキャンプライフの象徴である「薪」という素材で覆った。2万本の薪が内外にシームレスに連続することで、通常の建築にはない「野生」を与えることができた。 館内には敷地の土を塗った土壁や三条の地場産業として名高い金物工場の廃棄部材やコールテン鋼を多用し、大地と地域と建築とをひとつにつなげようと試みた。 Read More
Projectsユゥーアップ 四ツ谷東京の都心と新宿を結ぶ幹線道路、新宿通りに面した敷地に新しい都心型ライフスタイルの拠点を小ユニットの集合体としてデザインした。12層のファサードはアルミパネルの粒子のランダムな集合体としてデザインされ、コロナ後の離散的なライフスタイルを象徴する。アルミパネルの表面には精巧な印刷技術で木目が転写され、木漏れ日の効果によって室内環境はやわらかくコントロールされ、新宿通りにコンクリートと鉄のビルにはないヒューマンで暖かい空気が出現した。 コンストラクションマネジメント:株式会社 インデックスエンジニアリング デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所 Read More
Projects久杉橋2018年7月の西日本豪雨によって破壊された岩国市周東町獺越の橋を地域の新しいシンボルとなる木の橋として再建した。 橋の両側には、独特の酒造りで知られる日本酒「獺祭」の酒蔵とストアがあり、木の部分の工事費は旭酒造の寄付でまかなわれた。 再度の災害の危険を考慮して、RC躯体と105角のヒノキ材の欄干を組み合わせ、そのヒノキの配列によって、周囲の山並みと呼応するやわらかな曲線が生まれた。日本の木造建築で最も用いられてきた105角の部材の利用によって、懐かしいヒューマンスケールを持つ橋が誕生した。 日本が誇る大工の技術と、現代の技術であるコンピュテーショナルデザインを融合することによって、従来の土木構造物にはなかった、ヒューマンでやわらかな表情を作り出した。 Read More