これだけ旅行をしていても、めったに体調を崩すことはないのだけれども、今年のゴールデンウィークの旅では、肺炎にかかってしまい、やっとの思いで日本にたどり着いた。
振り返ると、ゴールデンウィークの旅行で体調を崩すことはわりと多かった。旅先の各地での気候の差が、この季節が一番激しいことと関係があるかもしれない。今回は特にまだ寒い秋田から中国、イタリア、スリランカ、モロッコとまわって、気温の差に対応できなかった。
その各地で、パビリオン作りを試みた。気候も違うし、室内、室外の場合もあるので、小さなユニットを組み合わせて、ゆるい全体を作りたいというこちらの気持ちは一緒でも、できあがったものには、驚くほどの多様性が生まれる。今回、完成チェックしたパビリオンだけみても、イタリア北部の野外彫刻公園アルテ・セラの山中に作ったものは、厳しい気候に耐えるために、58mm厚の無垢材で組んだ。一方、モロッコのラバトのビエンナーレに出品したもの(写真)は、15mm厚の合板を、モロッコの伝統的な格子細工のモチーフにインスパイヤされた鋭角的幾何学へ組み上げた。
できあがりの印象はまるで異なり、世界の多様性を映している。しかし、体の方を、世界の多様性にあわせていくのは、そう簡単なことではない。