©Masao Nishikawa

日本 2010華都飯店

大阪
内装 | 店舗/飲食
竣工

最初の打ち合わせの席でクライアントから出されたのは、お店で使われているというターコイズブルー色のお皿だった。繊維街として古くから栄えてきた大阪本町において、20年以上に亘って親しまれてきた華都飯店でずっと料理と共に出されていたお皿を、“歴史を繋ぐモノ”として計画の中心としたいとのことだった。蔦花文様の描かれたお皿をテーブル上に幾枚も並べると、森の中にあるテーブルで食事を楽しんでいるかのように感じる。そこでこの“森の中”感をより強調する、約3,500本の “枝”のようなルーバーを天井から吊すことにした。

ルーバーの中にある照明は“枝”の中を通り抜け木漏れ日のような光をテーブルに落とす。枝が重なり合う森のような空間は、テーブル上にあるシャンデリアや空間を仕切るパーティションという個別の機能を場所ごとに内包する。一つの小さなピースの集積が場所に応じた適切な形状を見つけ出す為に、“断面ライン”や“平面形状”などのいくつかのパラメータからランダムに“枝”を生成できるプログラムを作った。我々が様々な建築やインテリアで試みてきた小さなエレメント(粒子)を足し合わせていくことで大きな全体に到達するという方法論の延長にこのプロジェクトもある。

チーム 宮澤 一彦 設備 E環境サプライ 写真撮影 ©︎ Masao Nishikawa