評論家の東浩紀さんと、6年ぶりにニコナマでトークをした。建築家の藤村龍至さんを交えての鼎談という形をとって、拙著「点・線・面」を糸口にして、コロナ後の状況まで語り合った。
東さんの指摘でおもしろかったのは、ヴォリュームを「点・線・面」に解体すると隈はいっているけれど、やはり本質は「「線」の建築家」なのではないか、というコメントであった。東さんは、インターネットもコンピューターも基本的には線であり、なにかとなにかを線でつなげることが、今という時代の本質だというのである。この画面は面と見えるけれども、その裏につながっているものを考えると線の集合体だというのである。
そこまで線という概念を拡張していくと、確かにモノと場所を、情報という線でつなげるというわれわれの方法は、世界に線をひくことそのものであるという気もした。それは、世界の中にヴォリュームを確保することが目的であった20世紀とは、対照的な方法と呼びうるだろう。
もうひとつ面白かったのは、東さんが現代の象徴的行為としてあげている、トランプのツイッターである。
トランプは、アメリカの大統領という特権的ポジションにありながら、ツイッターというフラットなコミュニケーションを駆使している。KKAAにとってのパビリオンは、ツイッターかもしれない。時に、KKAAはパビリオンよりも、もっと小さなものを使って発信を行う。小さいものと大きなものを、パラレルで進めるというわれわれの方法は、今まで村上春樹の小説論を採用して、短編小説と長編小説を行き来することが、創造性を増殖させるために必要だと説明してきたけれども、東さん流にヒエラルキーのある世界の中に、SNS的なフラットな方法の挿入法とも、説明できる気がした。