KKAA Newsletter #36 (March 29, 2024) See in English 日本語で見る

#36 December 4, 2020


フランス西部、アンジェ(Angers)のサン・モーリス聖堂の前面に、新たに追加するギャラリーのデザインコンペで、最優秀賞に選定された。

ギャラリーは19世紀初頭に取り去られ、その背後にある貴重な多彩色彫刻の保護を目的とするため、石を使った本格的なギャラリーを建設するというフランス文化庁のプロジェクトである。元のギャラリーの記録が残存していなかったため、中世のカテドラルと現代のデザインとコラボという、フランスでははじめての試みとなった。

フランスの歴史建造物の保存に長く携わってきたヴァンサン・ブリュネル (Vincent Brunelle)氏と共同した。彼が提供してくれた歴史的背景や建築遺産に関する知識を元に、この教会の独特の石の積み方をベースにして、デザインを提案した。ロマネスクとゴシックの両時代をまたがって建てられた教会の歴史に敬意を表し、ロマネスクの単純な光と、ゴシックの有機的な美が重なり、響き合うデザインを行った。

ここには、すでにロマネスクとゴシックという2つの時間が重層している。そこに21世紀というもうひとつの時間を重ねようと試みた。建築デザインは、排除の手法に基づく引き算の時代から、寛容の思想に基づく足し算の時代へと変化しなければいけないと、僕は考えている。コンピュテーショナルデザインは足し算を可能にしてくれる。このアンジェのプロジェクトは、中世に思いをはせた結果、足し算の方法へとたどり着いた。ロマネスクとゴシックの石工と一緒になって、図面を描き、石を積んでいこうと思う。

コロナの時代、死は誰にとってもかつてないほどに身近なものとなり、日常の一部となった。そのような時代に、中世のカテドラルと向き合い、その時代の人間と神の関係について考えることができた。多くのヒントをもらい、そして励まされた。

Kengo Kuma © Onebeat Breakzenya

NewsCompetition Won for Taichung Arena台湾台中市 2027 競技場・学校・商業施設 132,000 m2 台湾・台中アリーナの国際コンペティションにて、隈研吾建築都市設計事務所が最優秀者として選定された。 台中市の中心を貫く軸線を敷地の中に取り込むことで、まちの豊かな緑と、夜市に代表される屋外空間のアクティビティが調和するアリーナを設計した。敷地にはメインアリーナの他、サブアリーナ、学校、商業施設が混在し、4つのリング状のボリューム間を軸線が貫通する。 2つのアリーナはリングに包まれ、その一部はスロープとして地面から伸び、アリーナのコンコースや台中市を見渡せる展望デッキにつながっている。これらは動線としてだけではなく、ウォーキングやランニング、サイクリングコースとしても機能する。台中の豊かな屋外活動を地上からバーティカルに広げていき、水平方向の地面と垂直方向の建物をゆるやかに連続させる。 ファサードは、日本にも麦わら帽子を編む技術として台湾の大甲地方に伝わる、藁を編む技術にヒントをえてデザインした。台中の強い日差しから建物を守るとともに、自然風を通し、内外空間の緩やかな仕切りとして半屋外空間を生み出す、動線としてのスクリーンを創造した。 2022着工、2027年竣工予定。 プロジェクトチーム:眞田アンテオ太郎、林孜俐、李奕辰、林中一、上月匠、金子史弥 コンペチーム:眞田アンテオ太郎、李奕辰、林中一、上月匠、Wellesley Sjafei Sarah、山本紘代、片桐和也* *元所員 © Kengo Kuma and Associates Read More
NewsCompetition Won for Hangzhou Xiaohe ParkHangzhou, China 2020 Park, Retail, Exhibition space, Pier, Pedestrian Bridge 24,000 m2 Kengo Kuma & Associates has won the 1st prize for the international competition of Hangzhou Xiaohe Park, China The former Xiaohe Oil Factory has been standing on the riverbank of world heritage the Grand Canal for decades. This area is now filled with residences and tourists, thus no longer suitable for heavy industrial facilities. Xiaohe Park would take over this abandoned industrial site and transform it into a multi-use open park for the public. We conceived this park to be a new local hub for both culture and history legacy while gently merging into the vibrant urban life in Hangzhou. In respect of the historical value of the site we minimized our intervention creating a delicate web like canopy over the site connecting all the building and stretching out to invite visitors from all directions. 4 historical warehouses and 7 oil tanks are preserved and would be renovated for exhibition space, vertical connections and landscape installations. In preserving the warehouse building we will use Corten steel to match with exposed concrete and red bricks, thus preserving the unique industrial identity of the site. A large circular sunken garden … Read More
ProjectsShangxia Chengdu Store中国の伝統工芸を継承する職人とスーパーブランドHermèsとのコラボレーションで生まれたSHANG XIAブランドの成都店。上海、北京、パリに続き、われわれがデザインを担当した。まず難燃処理した竹を厚さ40mmで縦にスライスすることで、その美しい構造性、幾何学を露わにし、そのユニットを増幅させることで、竹林を散策するような、有機的で開放的な空間を創造した。 Read More
Projects九谷セラミック・ラボラトリー日本を代表する焼き物、九谷焼を作るプロセスを見て、学び、体験することのできる体験型ミュージアム。 そもそもこの場所は、近くの花坂の山から取れた岩を砕いて粘土を作る、日本でも数少ない製土施設があった。その製土の機能を引き継ぎ、ミュージアム機能と合体させることで、日本のものづくりの深さを見せることのできるミュージアムができた。複合機能を一つの屋根によって地形のように繋ぎ、ここで作られる花坂陶土で内外の外壁を作り、カーボンファイバーを用いて伝統的な茶室の工法の下地壁を現代に再生し、透明性があり土壁とマッチする耐震壁をデザインした。 Read More