最も敬愛する建築家の一人であるフランク・ロイド・ライトが残した、ウィスコンシンのタリアセン・イーストと、アリゾナのタリアセン・ウェストとを訪ねて、ライトと日本建築との関連についてのレクチャーもしてきた。
ライトに直接教わり、ライトの作品に携わった人々が、今もそこに住み、教えていることに感激した。思想というものが強固でしっかりとしたコアがあれば、その思想の寿命というものが、人間の寿命を軽々と超える技が、感動的だった。僕らの実践もかくありたいと、あらためて自分の日常を振り返る機会となった。
特にアリゾナのまったくの砂漠の中に建つタリアセン・ウェストをライトが「キャンプ」と呼び続け、キャンプにふさわしい屋根はファブリックだと考えて、そのような「やわらかなルーフ」の実験をし続けていることがおもしろかった。写真では、あのやわらかさに気づかなかった。
僕らも同じように、やわらかいルーフの実験を続けているが(たとえば、広重、メム、長岡の家)、そこに同じようなキャンプ指向があるのではないかと思いあたった。僕の大学院時代のサハラでのキャンプに思い到り、いろいろなものがつながる思いがした。