中国 2022韓嶺美術館
中国東沿岸部の寧波市郊外、東銭湖の畔に立つミュージアム。古代から、寧波と象山港をつなぐハブとして栄えていたこの地は、近年町並みの復元、整備が進み、運河に沿って並ぶ木造の建築は、往時のにぎわいを彷彿とさせる。
美術館はこの自然が美しい古い村の歴史、文化、芸術を発信する場所として計画された。
建物は、東銭湖にはり出した、小さな半島状の敷地の上に、ひとつの小さな「山」として計画され、建築でありながら、同時に東銭湖を囲む山々のひとつとして、景観の中に融けていくだろう。
この「山」は韓嶺の村の民家の小さな屋根の集合体としてデザインされている。瓦で葺かれた民家の屋根のヒューマンなスケール、あたたかいテクスチャーによって、「山」と韓嶺の村はひとつに融け合い、過去と現代とが融合される。
美術館の内部は、「山」にあけられた洞窟のような空間がひろがり、従来のハコ型の美術館の無機質な内部空間とは対照的な、特別な体験、時間が提供される。