中国 2021長三角物理研究所
太湖の西に位置し、自然に恵まれた江蘇省溧陽市に建てられた物理研究所のオフィス。都市とは違う豊かな自然環境の中で、よりオープンな対話が生まれる場所となることを求められた。
高さを低く抑え水平に展開し、湖岸に沿った雁行プランは、研究室のどこからでも水や緑を享受できる環境を生み出すとともに、コーナー部にはカフェやオープンなレクチャースペースを設けることで内部動線のノードとした。両側を研究室とした中廊下型平面の廊下幅を20m~30mに拡充し、研究内容の展示や機器を配置できるフリースペースとすることで研究者同士のコミュニケーションを促進させる場となり、さらにダイアゴナルな吹抜けを介して横断的な空間構成とした。三か所のエントランスには地域を象徴する竜蟠山や湖と繋がる孔を穿ち、塀の無い自由なアプローチ空間は、従来の閉鎖的な研究所のイメージから脱却したものとなった。
波打つような木目調アルミ板のファサードは、量子力学でしばしば登場する「ひも理論」へのオマージュであり、ダイナミックなリズムを与えている。