アントルポ・マクドナルド
パリの北エッジに1970年代に竣工した全長616mの大物流拠点を地域密着の交流、教育の拠点へと転換する複合プロジェクト。2007年にOMAがマスタープランナーに選出され、物流倉庫を分割し、コンペで選出された建築家のコラボレーションとなった。仕組み自体がまず画期的で、歴史との対話、隣接する棟の建築家(オディール・デック)との調整が刺激的なプロセスである。
我々は616mの中の西エッジを担当し、小学校、中学校、スポーツ施設のプログラムが与えられた。
OMAの定めたルールは1F(既存)、3Fをクリスタル(透明)とし、2F(既存)、4Fをミネラル(鉱物質)とせよという一種錬金術的ともとれる不思議なもので、従来のアーバンデザインの形態規制と比較して抽象度が高かった。
われわれはその「謎かけ」に対し、一種ルール違反ともいえる木質のルーフで答えた。ソリッドで硬いボリュームを前提としていたOMAに対し、折り紙のようにやわらかな面で答え、面の下部は構造用合板を露出して他の建築とは異なる質感となった。このやわらかな屋根によっておおわれる半外部空間をおおらかに包み、都市に対しても“箱的“ではない関係性が築けた。ソリッド対透明というOMA的(西洋的)二項対立をルーフという形状、折る(FOLD)というアクションを用いて批評しようとこころみた。