日本 2021石垣市役所
津波の浸水域に位置していた旧石垣市役所を、高台の草原の中に移転した。草むらの中に石垣の景観を作ってきた漆喰赤瓦の屋根が重なりあった集落の風景の再生を目指した。プランニングにおいても十字路を起点として家が並び集落が成立していた石垣の集落にヒントを得て、東西軸と南北軸とのコミュニティーに開かれたストリートを起点として諸機能を配置した。このストリートが市役所内外へも拡張されて、草原に新しい街がつながっていくだろう。
漆喰で塗り固めた伝統的な瓦は、漆喰が傷みやすいという欠点があって沖縄から消えつつある。われわれは白い釉薬でひとつひとつの瓦にボーダー部を設け、伝統的な瓦と同じような赤と白のリズムを取り戻すことができた。現代の技術を用いて、伝統の風景とランドスケープを取り戻したいと考えている。