日本 2000高柳町 陽の楽家
高柳の環状集落の一角に建てられたコミュニティーのための交流施設。伝統的な藁葺き屋根を再生し、その下に和紙でくるまれた「光る箱」を配置して、「陽」(ひかり)を発する楽しい家と命名した。地元の和紙職人、小林康生さんの和紙を全面的に用い、開口部にはガラス、アルミサッシュのかわりに、二重張り(太鼓張り)にした和紙を用い、床、壁等の内部の建築エレメントもすべて和紙貼りとしてある。太鼓張りとしたのは断熱性を少しでも高めるためである。冬期には和紙の前に木製のスクリーンを並べて、雪を防ぐ。和紙にはコンニャクと柿渋を用いた防水処理をほどこした。19世紀以前の日本の住宅は、ガラスもアルミも用いず、植物と土だけで作られていた。もう一度人間と建築との幸福な関係を取り戻し、ヒューマンでやわらかい都市を取り戻すために、このプロジェクトでは工業素材を使わない建築の可能性に挑戦した。