日本 2022神楽坂和可菜改修
「ホン書き旅館」と呼ばれ、山田洋次監督を始めとする多くの作家の執筆生活の拠点として知られる神楽坂の象徴的旅館の再生。
1954年に女優木暮実千代の出資で開業した和可菜は伝説的なオカミ和田敏子さんの引退で2015年におしまれながら閉業し、放置されていた。わずか5室しかないこの伝説的な木造の旅館を、利用できるものは可能な限り利用する方法で更新・補強し、再生させた。新たに玄関正面の壁には、茅葺職人の相良育弥の、日本酒竹泉の無農薬栽培の藁を使用した茅壁を加え、客室内装には都倉達弥の漆黒の左官壁、ハタノワタルの手摺き和紙も加えて、作家達の愛した「神楽坂の闇」に、さらなる味わいと深さを与えることができた。
一間の坂の中でも最も狭い道路の巾で知られる神楽石畳に面したこの遺産を、7年間をかけて次世代に引き継ぐことが可能になった。