Water/Cherry East Japan 05/2012 Private residence 765 m2  大きなヴォリュームを、どのようにして砕くかに関心がある。たとえば浅草の台東区観光文化センターでは、高さ40mの塔を8つの「木造平屋」へと分解した。長岡市役所では、35000㎡の建築の「外観」を消去して、地元の材料で作られた180cm×90cmパネルが、内臓的空間の中を飛散する状態を作った。 この太平洋を見下ろす崖の上にも、粒子が浮遊する状態を作ろうと考えた。軒を低くすることで、ヴォリュームを小さく感じさせ、さらに徹底した分棟スタイルをとってヴォリュームを分解し、しかも建築を構成するエレメントを可能な限り小さく粒子化しようとした結果、世間から「数奇屋風」に似たところがあるかもしれないが、当方はそもそも「数奇屋風」などには何の関心もない。庭のcherryの木の花ビラが、その粒子のモデルとなったので、プロジェクトの名称をそう名づけた。  具体的には、屋根は800mm幅のアルミ板で作られた粒子の集合体とした。屋根を、のぺっとした重たいヴォリュームとせずに、パリパリとしたクリスピーな粒子の集合体とする手法はすでに根津美術館の2600mm幅の鉄板で試みているが、今回はそれを徹底させた。  外壁は40mm幅の杉の「棒」の乾いた集合体とし、特に最初に突き当たる妻面は、棒をデコボコに並べて陰影をつけることで、粒子の浮遊性を高めた。桂離宮の妻側でも、同じ処理が施されている。  インテリアでは250mm幅の木製の板を、魚のウロコのように、デコボコに配置した。通称、ヤマト貼りと呼ばれるディテールで、重たく大きな物質を粒子の集合体へと転換するための伝統的ディテールである。 個人住宅でも、長岡や浅草のような公共建築でも、粒子の浮遊した状態によって、身体と環境とを再接続させる可能性に挑んだ。 Water/Cherry 東日本 2012年5月 個人住宅 765 m2  大きなヴォリュームを、どのようにして砕くかに関心がある。たとえば浅草の台東区観光文化センターでは、高さ40mの塔を8つの「木造平屋」へと分解した。長岡市役所では、35000㎡の建築の「外観」を消去して、地元の材料で作られた180cm×90cmパネルが、内臓的空間の中を飛散する状態を作った。 この太平洋を見下ろす崖の上 ...