青森市総合体育館 カクヒログループスーパーアリーナ
世界一の豪雪都市・青森市の中央に位置する青い森セントラルパークと一体化した複合型スポーツ施設。7つのスポーツボックスを青森の伝統的雁木空間「コミセ」にヒントを得たギャラリーでつなぎ、その結節点に地域の交流空間「ヨリドマ」を設けた。
施設の主要な機能に会する「ヨリドマ」は、風が通り抜ける立体的な孔となっていて、隣接する2つのアリーナの可動建具を開放すると、人工芝の広場につながる街区規模の一体的空間が現れる。昔の田の字プランの民家のように空間は自由に形を変え、多彩な活動の受け皿になる。また「ヨリドマ」の南西部には、季節風から半屋外空間を守るため、地域の伝統的な工作物である可動式の防風防雪柵「かっちょ」を採り入れ、地元の叡智を受け継ぎ、雪と共生する環境共生型のスポーツコンプレックスの在り方を模索した。
外皮には青森産のホタテ殻を混ぜ込み、「ヨリドマ」と「コミセ」のフレームには、地元の木材を用いて「りんごかご」を想起させるパターンを展開した。木材を多用した木籠のアリーナは木の優しい香りに包まれ、コネクトホールと名付けたホワイエには、女性初のねぶた師・北村麻子さんが製作した巨大なリンゴのねぶたが浮かぶ。
青森の縄文文化のぬくもりが漂う、ヒューマンで風通しのよい現代の「かご」が生まれた。