ダリウス・ミヨー音楽院
南仏、エクサンプロヴァンス市の旧市街のエッジに立つ、コンセルヴァトワール(音楽院)と音楽ホールとの複合施設。敷地に大きな高低差があり、また、隣地の環境も多様であり、その複雑性を解くために、各ファサードはアルミという同一素材で作られながら、面ごとに異なる折り方(folding)をほどこした。
薄いアルミ板に折る(fold)という操作を加えることによって、各ファサードに多様な陰影が与えられる。その意味でファサードの主役は、アルミではなく、光と影である。この方法は、エクサンプロヴァンスが生んだ偉大なアーティスト、ポール・セザンヌの絵画と日本の折り紙から多くのヒントを得た。
またその折る操作によって開口部は太陽光から守られ、また開口部からの視界もコントロールすることができた。このファサードは、コンセルヴァトワールの主役であるスコア(楽譜)と似ているという指摘も受けた。音楽ホールも面を折るという操作によってデザインされている。その操作で作られた非シンメトリーなインテリアは、この地の生んだ音楽家で、施設の名前ともなっているダリウス・ミヨーの、自由で変化にとんだ音楽とも共鳴する。