泡で包む
断熱材として使われる発泡ウレタンを構造にして、アーティスト森万里子氏の照明作品「White Hole」のためのスペースをつくった。発泡ウレタンは現場吹きつけの断熱材で100倍に発泡し、瞬時に硬化する99%が空気となる非常に軽い素材で、その発泡という現象を強調するため、できるだけ即物的な方法でドームを成型した。
具体的には“ガウディの逆さ吊り実験”のように天井からPP養生ネットを吊り下げ、重力でカテナリー曲面をつくり、そこにウレタンを吹き付けた。結果、高さ5mの吸音性能が高い“かまくら”のような静かな空間ができた。
人為的操作をしきれないダイナミックな素材をどこまで秩序化できるかかがテーマとなった。