©Kengo Kuma & Associates

イタリア 2008カサ・アンブレラ

2008.11
ミラノ
展示
竣工
15

新たな「仮の家」の提案を、という条件で本プロジェクトはスタートした。組み立てるときの簡易性を重視し我々が考えたのは、世間でごく普通に流通しているものを使うことであった。今回選択したカサというプロダクトは、永い歴史の中で改良され続けた結果、軽量で持ち運びや折り畳みが可能であるし、何といっても雨を効率的にしのぐことができる。これを立体的に組み上げることができればプロダクト、あるいは同時に建築としても新しいものになるのではないかと考えた。

この「カサ・アンブレラ」は、正20面体の各正三角形をカサに置き換えることで成立している。カサの骨が作る三角形を利用して全体をトラス構造とし、すべてのディテールは通常のカサのそれを応用した。カサとカサをつなぐのはダイバースーツ用の止水ジッパー。広い場所に好きなところを見つければ、カサを開きジッパーをしめるだけで新たな自分の居場所ができ上がる。カサの大きさは、15本集まればシェルターとなり、数本だけでも小さな屋根やパーティションとして機能するものとした。

カサの生地は耐力、耐水そして防湿性に優れたデュポン社のタイベックというポリエチレンの不織布で、縫製やジッパーとの相性もいい。雨の日は雨水をしのぐ雨宿。晴れた日はジッパーを開いて日光やそよ風を取り入れられる東屋。「カサ・アンブレラ」はそんな、新しい時代の「仮の家」となる。

写真撮影 ©︎ KKAA