界 別府
日本の温泉街の代名詞ともいえる別府に、「街=ストリート」をテーマにした旅館をデザインした。温泉街の複合的体験、変化に富んだヒューマンスケールの空間の連鎖の内包をめざして、内部空間と外部空間とがモザイク状に混在する状態に挑戦した。
寄棟屋根が連なる軒の深い低層部で既存の街とスムーズに連続し、上層部はホタテ貝の殻を入れた吹付材に特殊ローラーで凹凸をつけ、海のサザ波と響きあうデザインとした。
竹細工、手漉き和紙、臼杵焼、豊後絞りなどの当地の工芸を用いて、当地の職人とともに、この旅館のための一品をデザインし、それらの粒子の集合体として、内部空間をデザインした。その意味でこれは旅館であると同時に、われわれの「民芸」のミュージアムである。