アルベール・カーン美術館
パリ西郊、ブローニュの森の南側に位置する美術館。
設立者アルベール・カーン(1860-1940)は、世界を旅した貿易商で、その旅先の風景を、72,000点のカラー写真と、183,000mに及ぶフィルムに記録した。そのアーカイブがコレクションの中心となっている。特に彼は日本を中心とするアジアに関心が深く、当時のアジアの生の生活の姿を伝える写真は、歴史的、民族学的価値が高い。
世界の五大陸の庭園の再現もカーンの夢で、特に日本から庭師を呼んでつくらせた日本庭園は圧巻である。
この庭園の園路の延長のリニアなシークエンスとして、展示空間はデザインされた。水平にも上下にも蛇行しながら連続する経路と外部環境の間に、アルミと木でできたスクリーンを挿入し、両者の関係はコントロールされている。庭園と展示との融合というアルベール・カーンの夢が、環境と建築の融合によって実現された。
都市側のエンベロップはアルミを主体とし、庭園側は木を主体とし、時としてそれをグラデーショナルにミックスさせた。異種の環境に対して、しなやかに適合し対話する生物的なスキンがある。