日本 1998北上川運河交流館 水の洞窟
環境との調和を目的として、北上川の土手に埋蔵されたミュージアム。川沿いの美しい自然環境を、建築によって破壊するのではなく、むしろ建築によって修復しようと試みた。単にコンクリートのボックスを地下に埋蔵するのではなく、地上川沿いの遊歩道を地下へと連続させることで、展示のための空間と、ぺデストリアン空間とを、シームレスに連続させようと試みた。川に面して、広場とガラス張りのホワイエを設け、地域のための、新しいコミュニティースペースを建築した。
学校帰りの子供たちやお年寄の集まる、新しいパブリックスペースが生まれ、都市と川とをより近づけることができた。地下のトンネル状の空間の中の展示スペースには、模型やパネルは一切置かず、コンピュータゲームを用いて、子供に親しまれるインターフェイスを持つミュージアムとした。環境から切断された閉じたハコを否定する、“アンチ・オブジェクト”と名づけたわれわれの発想がクリアな形で具体化されている。