大阪・関西万博 2025 カタール館
カタールの伝統的な木造船・ダウボートを用いて、共に海の国であるカタールと日本のつながりを表現するパビリオンをデザインした。船の帆をイメージした白い膜が木造の展示空間を覆い、周囲の水盤によって海に浮かぶ一隻の船が生まれた。
風になびく帆のように膜を湾曲させ、足元の象徴的な連続アーチに接続することで、イスラムの幾何学を感じさせる海辺のプロムナードを創造した。
膜の内側に建てられた木造のボックスは、杉の羽目板貼りで仕上げ、100年前のダウボートの色味を再現するために3色の塗料を塗り重ねた。
映像も物も溢れる時代の万博は、その遠い場所の空気、光、風を感じさせることだと考えた。建築は形を持つ必要もなく、ものを展示する必要も、映像をうつす必要もない。この建築はカタールという水際の自由で心地よい場所を人々に与えるための道具である。白い膜と木の箱の間を吹き抜ける風を感じながら、水辺のプロムナードを歩く時、我々はカタールとひとつになる。