かがくの里 母屋プロジェクト
所ジョージさんを中心とする様々な分野の自然の専門家チームが、テレビ番組で繰り広げている里山再生プロジェクトの真ん中に、茅葺きの「母屋」をデザインした。
竪穴建物のように有機的な曲面をもつ茅葺屋根の建築が、景観的にも自然循環的にも里山に溶け込む。
南北に抜ける卓越風と南からの日照を取り込むため、大きな円形屋根は緩やかにカーブしながら捲れ上がる形状とした。屋根は構造設計の江尻憲泰先生の力を借り、里山の間伐丸太28本を放射状に配したシェル構造とし、2本の心柱と1本の棟木の門型で支えている。
地元の大工の伝統技術と最先端の3DCADを融合させて、浮遊感のある複雑な曲面を実現させた。捲れた屋根の元に、大きな開口部と内外に連続する広い三和土土間を設け、里山の景色と環境を取り込み、これと一体となる空間をつくった。茅葺は、藁と茅を併用する茨城の地域独自の様式を採用した。棟には里の土を用いた「芝棟」を載せ、時とともに建物が周囲の自然へと溶け込んでいくことを意図した。
三和土土間は母屋の正面に広がる畑の土をそのまま固め、またこれを外壁にも塗り上げ、建築とランドスケープを文字通りに一体化した。内装には、伝統塗料の柿渋で染め上げた茨城県無形文化財の手漉き和紙や、地元の自然石である真壁石や白河石を用い、徹底して地域の自然素材を生かした。
素材、技術、知恵のすべてにおいて、地域文化と日本の伝統を継承しながら、未来へと繋がる新たな里山建築の姿を描いた。里山の豊かな資源と伝統工法の価値をあらためて示し、自然と共生する暮らしの可能性を提示した。
※関連プロジェクト:MOCTION 5周年記念隈研吾展 「里山に生きる、里山を活かす」

