下北沢 てっちゃん
下北沢で若者に愛される焼き鳥屋てっちゃんが、新店舗に移ることになった。古い2階建ての木造家屋を、焼き鳥屋へとリノベーションするに際して、いかにして元々の駅前の焼き鳥屋の持っていた、空気感、粒子感、ノイズを保存するかに挑戦した。
まず既存の木造家屋の外壁に既製品のアルミサッシをランダムに取り付けた。既製品のチープなアルミサッシをアセンブルすることで、日本の都市を覆いつくしていた、「普通」の木造家屋の発するノイズを、アンプリファイ(拡声)したようなファサードを作った。アルミサッシは日本の家をだめにしたと感じていたが、今となってみると、その発するノイズはなかなか面白い。
インテリアは、木造建築の骨組みをすべてむき出しにし、その上に、古いスキー板、スノーボードを用いて、雲のようでもあり、ゴミのようでもある階段を作った。このスキー板とスノーボードでできた階段が、空間の中にダイナミックな渦を作り、この渦が、焼き鳥屋の熱気を帯びて回転し続ける。