JR渋谷駅改修計画
渋谷は建築、広告、映像が境界なく融合し、流れ続ける町である。
この地域の中心となるターミナルステーションに、流石的な流体性と透明性を与えようと試みた。不透明な外壁を取り払ってガラスに置換し、前面のハチ公広場と駅のプラットホームとを一つに接合した。ガラスには、現地でデジタルカメラを使って撮影した雲の映像をセラミックプリントを用いて転写し、実際の雲のリフレクションか、ガラスに転写された雲の映像かを、判別できないような曖昧な状態を作った。ガラスへのセラミックプリントは、白とグレーの2色のイメージを6mmのディスタンスをあけて二重にプリントし、一種の立体視の効果をねらった。自分の視点が変化すると、雲の形や色も微妙に変化する。二次元と三次元の間に宙吊りになっているファサードをつくることを目指した。それは現実と非現実、または物質と非物質の間の宙吊りでもある。