Zenbu Koko | © Kengo Kuma & Associates

Zenbu Koko

2025.10
パビリオン | プロダクト
竣工
11

「ZENBU KOKO(ぜんぶここ)」は、現実世界と仮想環境の境界として構想された、XR(複合現実)プラットフォームである。

構造的には、三角形の木のエレメントで構成され、これらが互いに噛み合うことで、二次的なフレーム(補強骨組)を必要としない自立型のシェルを形成している。エレメントは一つひとつが小さく軽量だが、それらがアグリゲート(集合、集積)することで強度を増し、まるで空中に浮いているかのような、安定した構造を生み出す。

このロジックは、無数の小さな要素が集まってより大きな空間的状況を形づくる、自然環境の構成を反映している。木の葉が集まってキャノピー(林冠)を形成し、砂粒が風景をかたちづくり、水滴が集まって川となるのに、よく似ている。この構造体は、単一のオブジェクトとして構想されるのではなく、多くのパーツの蓄積によって立ち現れるものであり、これにより建築とその周囲の環境との境界が曖昧になる。

本プラットフォームによって、現実世界における身体的なリファレンス・ポイント(拠り所)が提供されると同時に、仮想環境への没入も可能となる。デジタルな風景が広がっていくにつれて、建築は知覚から徐々に後退し、現実世界との物質的なつながりだけがわずかに残る。この構造体は、2つのリアル(現実)の間をつなぎ留めるアンカー(錨)として機能し、それらの間に連続性を確立する。

小さな木のエレメントで全体を組み立てることで、「ZENBU KOKO(ぜんぶここ)」は、建築を軽く、ポーラス(多孔質)にし、オブジェクトを脱却する探求となっている。自然のシステムと同様に、個々のパーツ間の関係性によって全体が生成され、物質的であると同時に非物質的でもある空間体験が生まれる。

チーム ネルソン リチャードデビット、シューラ ヘレーネ、胡 至 鑫、林 芝柔 構造 LUDWIG SEUFERT