安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設
山口県豊浦町安養寺の境内にたつ、12世紀の木造阿弥陀如来坐像(重要文化財)の収蔵施設。地元に古くから伝わる日干しレンガ(アドベ)工法を再現し、35cm立方の日干しレンガを積み上げて外壁を作った。照明と換気が重要な課題であったが、レンガの間に隙間を空けることで、光と風を建築に取り込んだ。部分的に鉄板で補強する事で、風と光を通すポーラスな日干しレンガのディテールを開発した。日干しレンガは調湿機能を有するので、空調機械を設けず、素材そのものによる環境の制御という考え方を採用した。このようにして、木造の彫刻が要する最適な室内空間が実現された。自然素材を用いることで柔らかく、優しい、そして軽い建築を目指した。この建築はその麓にある土を自然に採用した結果である。純粋な自然工法である日干しレンガ造りは、半建築—建築とランドスケープの間を繋ぐもの—を造る最適な工法といえる。