LVMH 大阪
ルイ・ヴィトン・ジャパン・グループのブティックとオフィスからなる複合ビル。大阪、御堂筋の喧騒の中に、一つの「光る石の箱」を置いた。通常、建築は様々な二項対立の複合としてデザインされる。たとえば壁対窓、透明対不透明、商業的な華やかなファサード対オフィスの堅硬なファサード。しかし、この計画では二項対立を解消し、連続的なスペクトルを都市の中に提案した。そのために微妙に異なる3種類の「光を透かす石」を用意した。ここでは厚さ4mm、75μ、30μという3種類の「光を透かす石」の組み合わせによってデザインを行った。
パキスタン産のグリーンオニキスを両側から2枚のガラスでサンドイッチした4mmの石。オニキスのパターンを75μ厚のペットフィルムに転写した75μの石。多色刷のセラミックプリントの手法によってガラスに直接転写した30μの石の三種類である。3つの手法の組み合わせによって快適で機能的なオフィス空間を作る事が可能となった。3つの「光を透かす石」は、一見したところは同一の素材のようなあり方から、夜と昼によって、光のあり方によって表情を変え、石という具象的で不透明であるはずの物質が徐々に抽象的で透明な素材へと転換していく連続的プロセスを我々に見せてくれる。