©Kengo Kuma & Associates

中国 2010Air Brick (超空間 INBETWEEN)

上海
展示
竣工

ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン) という素材で、単位となる細胞を作り、その細胞がより集まってできる生物のような建築を構想した。空気でできた小さな細胞がだんだん集まって、ひとつの大きな建築ができあがるようなシステムの研究である。このシステムはETFE という透明な膜を三次元加工することでひとつの細胞を作り、その細胞をつないでいくことで、自由に建築を作り上げる仕掛けである。細胞には空気が封入されているが、細胞どうしはチューブによってつながれているので、ひとつの細胞の空気を出し入れすることで、全体の空気圧を調整することができ、全体の形態をコントロールすることができる。

20世紀のフランク・ロイド・ライト以来、オーガニック・アーキテクチャーを唱える建築家は多いが、彼らが唱えるオーガニックは、結局は建築のぐにゃぐにゃした外形のことで、それは生物の持つ、本質的なやわらかさとはほど遠い。小さな細胞が様々に結合し、その中を様々な物質が流れながら、環境の苛酷な変化に対応するだけの柔軟性こそが、生物のやわらかさなのである。西欧的で機械的な全体性に代わって、変幻自在な流動性を前提とする生物的全体性、アジア的な全体性を獲得することが、このプロジェクトの目的である。本プロジェクトは上海のギャラリーでの展覧会のために制作された。

チーム 胡 実*、ピッチネッリ マリアキアラ* パブリケーション GA DOCUMENT 113