陸前高田アムウェイハウス まちの縁側
東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市の新しい市街地中心に立つ複合型コミュニティー施設。地元の観光案内所、社会福祉協議会によるくらし相談窓口、障がい者就労支援カフェ、子育て支援施設が入居する、弱者にやさしいコミュニティーの、新しい中心施設が生まれた。
地場産材の気仙杉を用いながら、地元に伝わる気仙大工の技を用いて、陸前高田ならではの歴史と文化が感じられる建物とした。具体的には、「せがい造り」と呼ばれる、腕木を外に持ち出し、軒の出を深くする気仙大工ならではの構法を応用して、屋根と外部スロープを螺旋状に一体化させた二段螺旋構造を試みた。
建物を東西に分棟し、中央に長屋門と呼ばれる大きな孔をあけ、長屋門から屋根上の展望デッキに昇れる外部スロープを設けることで、陸前高田の海と陸、空と大地を繋いだ。
インテリアでは、柱や桁、壁に気仙杉を多用しながら、minä perhonen の皆川明氏と協働し、カーテンや障子、ペンダントライト、家具に、刺繍を施した彼のやさしい布を用いた。四方から入る柔らかい光、木や布の温かくて優しい質感により、明るくて開放的で居心地の良い空間が生まれた。
地元の牡蠣の養殖かごで和紙を漉いたペンダントライト、地元の牡蠣やホタテの貝殻、気仙川の川石を混ぜた陸前高田オリジナルコンクリートの床なども全てデザインし、陸前高田ならではの歴史や文化を感じさせる仕掛けを散りばめた。