獺祭ストア 本社蔵
米粒を徹底的に磨くことによって、従来の日本酒では考えられなかったような、豊穣で透明感のある味を獲得し、世界で最も愛される日本酒のひとつとなった。山口県の山間の深い谷に立地するその獺祭の工場の脇、渓流のほとりに、試飲・販売のための「家」をデザインした。
急勾配の寄棟の屋根の既存民家の基本構造を残し、その上に白木の貼り板を用いて、「やわらかな皮膚」をかぶせた。羽目板の幅、隙間をランダムにすることで、生物の皮膚を想起させるやわらかさ、艶っぽさの獲得を試みた。
室内でも、既存の構造体をすべて現しにした上で、それを和紙でくるみ、夢の中を漂うような、白く淡い空気感を求めた。かつて日本酒の醸造に用いられていた袋吊りにヒントを得て、鳥取市青谷の青谷和紙の職人と共に、天井から吊るされたペンダントライトを製作した。