STONE ROOF
長野県
2010.11
別荘
482.9m2
異種の自然素材をグラデーショナルに用いることで、有機的で流動的な空間を生成したいと考えた。この場合の異種とは具体的には石 (御影石) と木 (米松) である。そしてグラデーショナルとは、単にひとつの素材から別の素材へというグラデーショナルではなく、「重さ」においても「透過性」においても、また「ザラツキ」においてもグラデーショナルな状態が生成されることを意識しながら、ディティールのデザインを行った。
そのプロセスで「石を立てる」という新しいディティールが登場した。たとえば、石の美術館では石のルーバーを作り、Lotus Houseでは石を薄くスライスしてスクリーンを作り、ちょっ蔵広場では石を積むにあたって開口率のグラデーショナルな変化を意識したが、今回は石をたてるディティールによって、面の「ザラツキ」をコントロールしようと考えた。フラットに並べられていた石のプレートが立ち上がってくると、透過性が変化すると同時に、そのプレートが作る影が変化する。その三つのパラメーターが独立ではなく、連動しながら変化するところがおもしろいと思った。
素材のザラザラ感というと、普通は石を磨くとか、ジェットバーナーをするといった操作を用いるが、今回のようにプレートを立てるという操作には、重さ対軽さ、粗さ対スムースといった従来の二項対立を変える新しい可能性がひそんでいると感じた。
自然というものがそもそもグラデーショナルであるという認識がベースになって、このグラデーショナルな素材の操作に興味を持ち始めた。人間の活動もまたグラデーショナルなものであるとしたら、家の空間もまた様々なパラメーターにおいて、グラデーショナルであってもいいだろう。
有機的で流動的な空間を小さくて軽い部材によって作り上げるという手法はGCプロソミュージアム、梼原木橋ミュージアムをはじめとするわれわれの一連の建築に共通の方法である。その手法の延長線上にグラデーショナルなものの可能性が見えてきた。
